マンション大規模修繕の基本

建築基準法で
建築物の所有者、管理者または占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければいけない。」と定められています。

マンションの維持管理は区分所有者の義務

▼ 劣化、老朽化を放置すると・・・
マンションなど鉄筋コンクリート造の建物はとても丈夫でありますが、だからといって外壁などの劣化に気が付かず放置しておくとコンクリートが劣化し、ひび割れが生じます。その結果、専有部分へ漏水するなど、建物本体に重大な影響が生じます。外壁のタイルについては、ヒビが入り落下するなど人体に対して危険もおこりえます。
▼ 劣化、老朽化が原因で事故になると・・・
外壁の一部が劣化、老朽化により落下して第三者(人や物)に被害を与えた場合は、その法的責任は管理者にあります。なぜなら、外壁は共用部分だからです。
共用部分とは主に外壁・屋上・バルコニー・外構等を言います。詳細はマンションの管理規約に定められています。
◎ 計画的な補修が必要!!
マンションの劣化や老朽化は避けられません。長期的に良好な状態を保っていくためには、定期的に且つ計画的に補修(大規模修繕工事)を施さなければいけません。

第1回目の大規模修繕 [築後10~12年、外壁修繕が主体]

* 外壁改修工事を主体としたもの、関連工事も同時施工。
「みすぼらしくなった 建物を、新築時の姿に戻そう」がコンセプトとなり、初期性能の回復が目的です。

第2回目の大規模修繕 [築後24~30年、外壁・屋根・設備] ※第1回目の大規模修繕費用よりも高くなる傾向がある

* 修繕・改修のみでなく更新も必要。「新しい部材やパ-ツ」での改良修繕。
建物関連だけでなく設備工事も増えてくる。「建物改修+設備改修」

大規模修繕の計画修繕と改修の重要性 定期的な修繕工事が継続的に必要

1. 大規模修繕工事を検討するかどうかを決定する

大規模修繕工事とは共用部分の修繕工事となりますが、実施時期は法定耐用年数で決められているものではありません。
目安時期として考えられるのは、以下の3通りです。

  1. 長期修繕計画・・・大規模修繕工事実施の該当年が近づいた場合
  2. 経年劣化・・・築年数により一般的に広く言われている大規模修繕工事実施時期の平均の築12年に至った場合
  3. 調査診断の結果・・・調査診断を専門家に委託し、結果、実施すべき状況と結果がでた場合

各部位の修繕時期の目安

鉄部塗装は4~6年ごと外壁の補修・塗装は10~15年ごと屋上防水は12年~15年ごと給水管の取替は使用管材による排水管の取替は使用管材によるエレベーターの取替は24~32年ごと

*国土交通省発行「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」参照

大規模修繕工事の意味

  1. 資産価値の維持により区分所有者の一人一人の財産を守るため!
  2. 建物の劣化による第3者への被害を回避するため!
  3. 生活水準の向上、法律の変更に対応したグレードアップ = 資産価値の向上のため!

2. 大規模修繕工事の計画に取り組むメンバーを決定する

→ 理事会で取り組む!

通常の理事会での議題の中に大規模修繕工事計画の協議を含めることになります。
協議内容によっては、理事会開催の回数を増やす等の対策も必要になってきます。
※理事会で取り組む場合、理事会満期後も委員会として一部の旧理事会が残ることが望ましいです。

→ 専門委員会(大規模修繕委員会等)を新たに結成し、取り組む!

マンションの管理規約で理事会の任期は1~2年と定められている事が多いため、大規模修繕工事の計画中にメンバーが一斉に交代する可能性があり、引き継ぎ等が大変になります。
よって、区分所有者の中から委員を募り、修繕委員会を設ける事が他のマンションでもよくあります。
※理事会への伝達の為、理事会の一部のメンバーが委員会に入っていることが望ましいです。