管理組合における大規模修繕工事の検討段階のフローとコンサルタントの役割
大規模修繕工事を行う際の流れ
マンション管理組合の皆様が大規模修繕を実施される際の流れと、その際に考えられる多くのリスクについて
発意・・・検討体制の確立
- 長期修繕計画に基づく大規模修繕工事計画の準備
- 専門委員会(修繕委員会)の設置
考えられるリスク
- 修繕プロジェクト運営能力を有する体制作りが困難
- 建築に対する有識者による体制作りが困難
調査診断・・・建物の現状の把握
- 建物調査
- アンケートの実施
- 建物調査報告書提出
- 報告書作成
考えられるリスク
- 劣化、損傷、不具合箇所等の問題点の把握不足
建物調査
- 準備調査（竣工図・修繕履歴等の確認）
- 機械試験
- 目視・打診・触診
経験豊富な建築技術部スタッフによる調査を実施し、管理組合様の財産（区分所有者の共有財産）である建物の劣化状況を把握するために実施いたします。
アンケートの実施（居住者の参加）
- バルコニー関係 バルコニー立入り調査
居住者の参加意識の向上
バリューアップの要望の把握等のため実施いたします。
建物調査報告書提出
- 理事会への詳細報告
区分所有者の共有財産である建物の状況を分かりやすく説明いたします。
報告書作成
- 調査結果の解析
- 各部位毎に、劣化度５段階、緊急度５段階の２つの指標で評価します。
- 報告書の作成
- 建物概要、総合所見、部位別所見（劣化度，緊急度，改修工事案付き ）、各階劣化状況図面、各部位劣化状況写真，各種機械試験結果をＡ４ファイル綴じ込みの上、２部を作成・提出。
- 調査報告
- 調査結果の報告を管理組合様に対して実施します。
- 調査診断報告書
- a) 劣化度の評価基準
- 劣化はほとんど見受けられず、本来の性能を発揮している。
- 劣化が進みつつあるが、まだ性能には期待できる。
- 劣化が進行し、性能も衰えつつある。
- 耐久性の限界にほぼ達しており、今後の性能に期待はできない。
- 耐久性の限界を越えており性能も発揮せず、他の部分への悪影響を及ぼして修繕・改修範囲も拡大しつつある。
- Ａ：修繕・改修の必要がないもの
- 現状で充分に耐久性や機能は発揮されていて、視覚的にも悪くない。
- Ｂ：今後改修が望まれる事項（概ね５年前後）
- 生活上の要求や社会的評価基準の変化により機能が充分に発揮できない状態になりつつある。
- Ｃ：早急に実施すべき修繕（概ね２年前後）
- 予防的な修繕により耐久性の向上を計ることができるもの。
- 視覚的評価（美観上）により価値の低下しているもの。
- Ｄ：早急に実施すべき修繕（今回工事に修繕を要す）
- 耐久性の限界に達しているもの。
- 性能の低下を防ぐために改善や改良が必要なもの。
- Ｅ：緊急に実施すべき修繕（今回工事に修繕を要す）
- 人身の危険につながる恐れのある劣化や損傷。
- 性能が確保されず日常生活に重大な支障をきたしている劣化や損傷。
- 劣化の進行が著しく、他の部分へ重大な悪影響を及ぼしている劣化や損傷。
改修設計・・・改修工事範囲の検討、工事仕様等の決定
- 工事範囲・仕様の検討
- 設計図書作成
考えられるリスク
- 建築技術的な知識不足から改修の設計を把握しきれない
- 居住者の多種多様な要望をまとめることの困難さ
- 事実上、専門的である工事設計図書の作成が不可能
工事範囲・仕様の検討（状況により合同若しくは個別にて協議）
- 工事範囲の検討
- 仕様の検討
工事内容・補修方法等について解り易く説明し、修繕予算等に合わせた検討資料の提供、アドバイスを実施いたします。
設計図書作成
- 工事設計図書の作成
- 工事仕様書の作成
- 工事内訳書の作成
施工者に見積もりを依頼する際の書類等（工事完了後の保証等を明記）を作成を実施いたします。
施工者選定・・・施工者及び工事金額の決定
- 施工者選定補助アドバイス
- 現場説明会・質疑受付回答
- 見積比較
考えられるリスク
- 実態に即していない工事金額見積となる可能性
- 信頼のない施工者を選択する危険性
- 選定の環境が居住者から不透明・不公平と思われる事からの修繕委員会への不信感
- 安かろう悪かろうに代表される客観的根拠のない判断
施工者選定補助アドバイス
- 施工業者選定に対する助言
- 公募文書作成
- 業者一覧表作成
施工者の見積り参加資格・条件等を組合様に提案し、公募後、見積り依頼業者を決定頂くまでのアドバイス・助言等実施いたします。
現場説明会・質疑受付回答
- 現場説明会資料作成
- 現場説明会での説明、質疑の回答
見積り依頼業者に対し現場説明会を実施し、期間中の質疑応答にも対応いたします。
見積比較
- 見積書等のチェック、比較表の作成
- 施工業者に対してのヒヤリング立会い
施工者の選定には透明性が強く求められる事項である為、理事会・委員会様の公平・透明性が担保できるよう資料等の作成を実施いたします。
【公募広告チラシ】
- 工事範囲・仕様が決定した後、施工者の選定を行います。
- 公平性・透明性の高い公募方式を提案しております。
- 応募資格・条件等を管理組合様と協議の上、公募チラシの作成を行います。
【見積書一斉開封】
【見積金額一覧表】
- 公募後、工事内容に適した業者を絞り込み、必ず数社から見積もりを取ります。
【見積金額一覧表（大項目）】
- 見積もりは、内容・金額等を比較・分析し公正中立な立場で皆様にアドバイス・助言等をおこないます。
【施工業者ヒアリング】
- 施工業者決定におきましては管理組合主導で行います。
工事実施・・・施工者との契約から、着工前の準備及び工事着手～竣工・引渡しまでの監理
- 着工前の総合調整
- 工事期間中の重点監理
考えられるリスク
- 管理組合にとって不利益な内容での施工者との契約締結
- 設計図書通りに工事が実施されているかの判断の困難さ
- 実際の各種検査の実施体制作りと実行（平日の適宜検査の実施が事実上不可能）
- 居住者からの多種多様なクレーム対応に追われる危険性
- 施工者に対するトラブルやクレーム対処指示、指導に追われる危険性
- 竣工図書・保証書の妥当性と不備のチェック不足
着工前の総合調整
- 工事請負契約書チェック
- 工事説明会資料のチェック
- 工事説明会立会い
工事着工までに実施すべき事項についての補助を実施いたします。
工事期間中の重点監理
- 定例会議出席
- 各工事の確認及び報告
- 施工者への指示・指導
- 各検査の実施
マンション改修の経験が豊富な人材を配置し、技術者的見地からの厳しい検査・品質管理を実施いたします。また、施工者への指示・指導も随時行います。
アフターサービス・・・アフターサービスの点検・工事報告書の受領
- 引渡し業務・アフター点検
考えられるリスク
- 施工者が行うアフターサービスの的確な精査及び改善指導が困難
- 理事交代によるアフターサービス点検と保証範囲内工事実施の忘れ
引渡し業務・アフター点検
- 竣工図の確認
- 引渡し必要書類の確認（保証書等）
- アフターサービス点検の立会い
竣工後１～２年目の瑕疵担保検査の立会いも行い、保証事項の問題点があればフォローしております。
【監理者検査】
- 監理者が厳しい検査を実施し、品質管理をおこないます。